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睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気をご存知でしょうか?
我が国では2003年に起きた新幹線の居眠り運転事件をきっかけに広く知られるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)とは、寝ている間に何度も呼吸が止まり、夜間に十分な呼吸ができなくなる病気です。

医学的には、「一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または睡眠1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数が5回以上起こる状態」が睡眠時無呼吸症候群であると定義されていました。

眠っている間に呼吸が止まると、睡眠中にも関わらず脳が起きた状態に近くなり、身体に取り込まれる酸素の量が少なくなります。その結果、きちんと睡眠時間を確保していても脳と身体は十分に休息できず、睡眠の質が悪くなるのです。

睡眠中に生じる病気なので、ご自身では気づかない場合が多く、ご家族やベッドパートナーに指摘されてはじめて気づくという方も珍しくありません。
またSASを放置していると、さまざまな健康へのリスクが高まります。たとえば、高血圧や糖尿病を代表とする生活習慣病を合併する頻度が高いことが、近年の研究で明らかにされています。放置すると大変に恐ろしい病気なのです。

原因

睡眠中に呼吸ができなくなってしまう原因は、空気の通り道である気道が閉塞してしまうからです。

では、なぜ気道が閉塞してしまうのでしょうか?

1つは肥満が理由です。肥満によって気道が狭くなります。実際、肥満はSASの患者さん全体の60%以上にみられます。

ただし、SASは肥満の人だけに認められる疾患ではありません。やせている人でも下顎が小さい人や扁桃腺が大きい人、また高齢者の人などでもSASは起こりやすくなります。

症状

睡眠中に無呼吸が繰り返し起きることで、特徴的な症状がみられます。
思い当たる症状は、ありませんか?

・いびき

いびきは、気道壁が震えることによって生じる呼吸音です。つまり、いびきは気道が狭くなっているサインです。SASではいびきを伴うことが多く、特に無呼吸から呼吸が再開するときに大きないびきが起こります。いびきを習慣的にかく人は要注意です。
 <いびき音の参考例>
 

・日中の眠気、熟睡感がない

SASの患者さんは、無呼吸が繰り返しおこっているため、 脳が頻回にめざめます。寝ているつもりでも実は脳が十分な睡眠と休息がとれてないのです。

このため昼間の眠気などの症状が生じます。


・作業能率や集中力の低下

睡眠は、身体と脳を休める大切な時間です。しかし、SASの患者さんでは、睡眠中に繰り返し起こる無呼吸のため、質のよい睡眠とはなりません。そのため、日中の作業能率や集中力の低下はこうして生じるのです。

また、交通事故を起こす危険もあり、運転免許証の更新ではSASの有無が確認されるのです。




・夜間のトイレの回数が増える

通常、寝ているときは副交感神経が優位となります。無呼吸により脳が休めない状態だと、反対に交感神経が優位になります。交感神経が優位となれば尿が生成されやすくなります。さらに無呼吸は睡眠中に心臓に負担をかけるため利尿ホルモンが持続分泌されます。このため、夜間のトイレの回数が増えるといわれます。

検査について

簡易検査

睡眠中の呼吸状態について簡単に判定する検査です。

ご自宅で検査を行うことができ、小型で携帯性に優れた検査機器が用意されています。

睡眠ポリグラフィ検査(PSG)

睡眠状態と呼吸状態を併せて判定する専門的な精密検査です。

脳波、呼吸状態、酸素レベル、体位、心電図などのセンサー類を体に取り付けて睡眠中の変化を正確に検査します。 痛みもなく、睡眠状況が明瞭となります。

治療について

CPAP療法

睡眠中に鼻に取り付けた専用のマスクから気道に空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ治療法です。 世界的にも安全性と治療効果が確認されており、現在、睡眠時無呼吸症候群の中〜重症の患者さんでこの治療が第一選択となります。使用方法や治療管理につきましては、当クリニックで丁寧に指導しております。 健康保険でCPAP治療を行うには、毎月1回の定期外来受診が必要となります。

歯科装具

睡眠中、専用のマウスピースをつける治療です。SASの程度が軽い場合やいびき症の場合に使用することがあります。下顎を上顎よりも少し前に出るように固定し、気道を広げます。作製には専門医療機関をご紹介します。

 

 

外科治療

無呼吸が生じる部位が明確となる場合、その適用の可否が考慮されます。最近ではレーザー治療も行われることがありますが、全ての患者さんに適用となる治療ではありません。当クリニック専門医とご相談ください。